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第2章 被曝を防ぐために今、始められること
低線量の内部被曝にどう対処していくか
これから日本人は毎日の生活の中で放射能の脅威と向き合っていくことになります。怖がりすぎる必要はありませんが、かといって無配慮ではいけません。自分が日々、どれくらいの被曝をしているのかを自覚し、特に内部被曝については、それを避ける手段を講じるべきでしょう。
大量の内部被曝が懸念される場合、放射性物質の影響を避けたり、放射性物質自体を排出させたりする薬剤を投与する医学的な対処法が施されます。
ヨウ素131に対しては、安定ヨウ素剤を投与して甲状腺を満たしておけば、ヨウ素131の吸収を阻害できますし、セシウム137に対してはプルシアンブルーという顔料を、ストロンチウム90やプルトニウム239に対してはEDTA(エチレンジアミン四酢酸)などのキレート剤を投与して体外への排出を促します。
なお、日本国内では、プルシアンブルーは製品名「ラディオガルダーゼ」として厚生労働省によって承認されており、プルトニウムを排出する薬剤に関しても、新たに「ジトリペンタートカル」と「アエントリペンタート」という製品が承認されました。
ただし、それらの薬剤はいずれも、それ自体が体へダメージを与えると考えられています。特に安定ヨウ素剤はヨードアレルギーの人には使えません。
そこで、これらの薬剤が使われることがあるとすれば、それは大量の内部被曝が起きた場合のみに限られるでしょう。
では、ほとんどの人にとってこれから問題となってくる低線量の内部被曝に対してはどのように対処すればいいのでしょうか?
第一は、この一つ前の項で紹介した対策をできる範囲で実施して、体内に入ってくる放射性物質を減らすことですが、それでも完全にシャットアウトできるわけではありませんから、一方で放射性物質の体内からの排出を促すことを考えなくてはなりません。
そこで、この本では一つの方法として、食生活を見直すことを第1章で提案しました。
それは、食生活を整えることは健康な体づくりにつながり、健康な体は放射線のダメージから立ち直りやすいと考えられるからです。また、健康な内臓を持っていれば、放射性物質の体外への排出もよりスムーズであるはずです。
それに加えて、放射性物質を効果的に吸着・排出することのできるゼオライトという鉱石の有効性を本書では検証します。その上で、この鉱石を用いて内部被曝のリスクを低減させることができるならば、これからの日本人にとって大きな恩恵となると思います。
次章からは、ゼオライトとはどういうものか、放射性物質に対してどのような働きをするのかということについて詳しく見ていきましょう。