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第1章 食から始める放射能対策
どの量でどれくらい排出するかのデータはないが、確実に放射能の害を受けにくくする
そのゼオライトを私たち一般人が活用するときには、食品(ゼオライトの微粒子を含む飲用水)として摂取することが主な使用法となります。
鉱石を摂るというとおかしく聞こえるかもしれません。しかし、私たちの仲間の一人である岐阜大学応用生物科学部の鷲巣誠教授は、野生の動物や各地の先住民族たちは体にとって毒となる物質を排出するために土を食べてきたと説明します。
「野生動物や古代からの知恵を引き継ぐ部族の人々がときとして土を食べるのは、土に含まれるミネラルの補給と、粘土質に含まれているゼオライトなどによる毒物の解毒のためです。太古より、土による解毒は動物やヒトが生存するために必須でした。そのため、私たちの祖先は特定の土を求めて行動や移動をしていたのです」(鷲巣教授)
鷲巣教授によると、植物の持つ毒を体外へ排出するために土を食べる動物は数多く、古代文明においても、同様の目的で食物の調理時に土を混ぜたり、あるいは直接的に土を食べていたりしたといいます。
放射能に関しては体外からの被曝以上に問題となるのが、食物や飲用水などから体内に入った放射性物質による内部被曝です。
この内部被曝については、体内に入った放射性物質がすべて体に残るのではなく、一部は体外へと排出されていきます。体の自然な働きによって排出されるわけです。その自然な排出プロセスにおいて、ゼオライトは体内で放射性物質を吸着させて排出されやすい状態にしてくれます。
チェルノブイリ原発事故の後、近隣国のブルガリアでは子どもたちにゼオライト入りのチョコレートやビスケットを食べさせたといいますが、それはゼオライトによる放射性物質の排出を狙ってのことです。
ただ、ここで一つお断りしておきたいことがあります。
それは、そのような放射能の事故自体がそうそう起きるものではないため、摂取したゼオライトが体内でどれくらいの量の放射性物質を吸着できるのかという点については、あまりデータがないということです。
今ここで挙げたブルガリアの例でも、本来であれば、ゼオライト入りのお菓子を食べた子どもと食べなかった子どもで比較検討しなければなりませんが、このことが書かれている論文にはそこまでは書かれていません。おそらく、とにかく子どもたちにできるだけのことをしようという思いで、誰がどれだけ食べたなどの記録も残されないまま、緊急的な措置として行われたためでしょう。
これは実験や研究としてはアウトですが、人道的には間違ってはいない行為です。放射性物質が体内に侵入しようとしているときに、後の統計処理を考えて被験者のグループ分けなどをしている時間的余裕などないからです。つまり、このときにはこれが最善の方法だったのです。
本書でもそれと同じスタンスを取っています。
ゼオライトは安全かつ、人の健康にとって大変有益なものであることは確かです。特に体内に入り込んだ重金属や化学物質といった有害物質の排出に高い効果があり、それと同じ働きによって放射性物質の排出にも一役買うことが期待されています(その検証は第3章以降で行います)。
ただし、その放射性物質の排出作用については、どれくらいの量を摂ればどれくらいが排出されるのかというところがはっきりわかっていません。研究途上なのです。
とはいえ、放射性物質を体外へ排出するのは確かなのですから、何もしないよりはずっと放射能の害を受けにくくなるはずです。ですから、毎日の風向きや放射能の数値を神経質に気にするよりは、こういったものを活用してひとまずの安心を得るということを本書ではご提案したいのです。
次章では、このゼオライトを中心に、さまざまな放射能対策についてご説明していきましょう。