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第1章 食から始める放射能対策
放射能は極陰、塩分は極陽
健康になるための食事法の一つに日本で生まれたマクロビオティックがあります。これは一言で言うなら、食物をそれぞれ陰と陽の性質でとらえてバランス良く食べようという健康法です。
マクロビオティックでは食物のほか、さまざまな元素についても陰と陽があると考えています。それによると放射性物質は極度の陰性(極陰)であり砂糖も陰性です。一方、味噌や梅干など塩分の強いものや玄米などは陽性、おこげは極度の陽性(極陽)とされています。
つまり、原爆の後遺症を克服した人々は、極陰を極陽で打ち消すような食生活を送っていたことになります。
マクロビオティックの指導者の一人である大森英櫻氏は、先ほど紹介した長崎の秋月医師と広島の女性の話を例にとってこのように説明しています。
そのとき、彼(引用者注―秋月医師のこと)がいちばん先にみんなに「みそをなめろ、塩をなめろ」と言いました。それで、助かったのです。原爆で、やられた人たちは、陰性で、やられたのだから、塩気を入れたら、助かったのです。
長崎だけでなく、ひどかった広島にも、かろうじて生き残った人がいます。2000年現在お元気なのは、平賀さんといって、広島大学で分析学をやっていた人の奥さんです。その人の仲間は、全部死んでいます。彼女は、玄米にごま塩をとことん摂って、元気になって、7人も子供を産んでいます。結局、陰性の放射能を浴びて助かったのは、陽性な塩気を摂った人と、炭素という陽性な、(ご飯の)おこげを食べた人です。陽性を入れれば、陰性なんて消えてしまいます。
(『無双原理 講義録』大森英櫻著、宇宙法則研究会より)
また、秋月医師自身も、著書『死の同心円―長崎被爆医師の記録』(長崎文献社)でこう述べています。
爆弾を受けた人には塩がいい。玄米飯にうんと塩をつけてにぎるんだ。塩からい味噌汁を作って毎日食べさせろ。そして甘いものを避けろ。砂糖は絶対にいかんぞ。
こういった考え方は非科学的にも思えますが、現代の医学に照らし合わせたときに理にかなっている部分も少なくありません。
塩分摂取に関しては、ユキウサギが食物の毒性の強くなる時期に「塩舐め場」を頻繁に訪れることや、毒性の強い果実を食べるエボシドリがナトリウムを多く含む水生植物を摂取しているといった自然界の例を見ると、マクロビオティックで考えるように塩には何らかの解毒作用があると考えられそうです。
とはいえ、あまり塩分の強すぎるものばかり摂るのも問題がありますから、予防的な観点で考えるなら、なるべく甘いもの(マクロビオティックでは陰性とされている)を控え、伝統的な和食を心がけるだけで十分でしょう。そのような食生活は結果的にジャンクフードなどを避けることにもつながり、健やかな体の維持にも寄与することになります。