●
はじめに
「知らないうちに、被爆してたらどうしよう……」
そう思うのはあなただけではありません。 私たちも、自分の家族、職場の仲間、いつも接している患者さんたち、そして自分自身のことを考えて、不安になるのです。
2011年3月11日の震災、そしてその後の一連の原子力発電所での出来事が、私たちを「知らないうちに……」という不安に駆りたてるのは無理もないことかも知れません。
一方で、不安に感じなくてもいいことに不安を感じているのであれば、その不安を手放すことで心安らかに過ごせるようになることも確かだと思います。
放射能。
この言葉を聞くと、どうしても『不安』な気持ちが出てきます。しかし、放射能はもともと自然界に存在しています。
そういった意味では、私たちは毎日を放射能と共に過ごしているわけです。
現在、テレビや新聞などの報道では放射能とその影響についてのコメントが、手を変え品を変え、さまざまな切り口で紹介されています。
その多くは「直ちに健康に悪影響はないから心配しなくていい」という内容と、「放射能が危険なレベルに達しているので退避が必要」という状況のどちらかに偏っているように感じます。
しかし、実際には、このふたつの状況の間に「長い目で見ると危険かもしれないので、予防的にこれをやっておきましょう」という方策があってもいいはずだと思うのです。
私たちはこれまで、医療、獣医療、土壌改良、健康補助食品開発などそれぞれの専門分野で「ゼオライト」と呼ばれる素材を活用してきました。
そして今、この「ゼオライト」という素材が放射能除去の効果で、一躍、時の素材となっています。
もともとこの素材は日本でも工業分野での触媒として一般的な素材です。
今でも数多くの優秀な先生方が大学などの研究機関で「ゼオライト」の工業分野での応用についての研究を進められていますが、「ゼオライト」を人間や動物の健康を守る目的で使うための研究は日本ではまだまだ発展途上と言えるかもしれません。
ただし、海外では状況が少し異なります。
実際に1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故の際には放射能除去作業にゼオライトが用いられるなどの実績がある素材でもあります。
もちろん、震災後の復興と同じく、原子力発電所の状況についても今後多くの対策が考えられることだと思いますし、実行されることになると思います。
その中で、その時々で最も良いと思われる対策が施されるべきで、その意味では本書でご紹介する「ゼオライト」が唯一無二の解決策であると言うつもりもありません。
ただし、今の問題を解決する方策のひとつとして、「ゼオライト」という素材がなんらかのお役に立つのであればこんなにうれしいことはない。
これまでゼオライトに関わってきた人間として、私たちはそう思うのです。
「安心です」「安全です」と誰かに言われても、それが100パーセントは信頼できないのであれば、自分が安心できるような方策を求め、知ろうとすることは大切なことかもしれません。
本書が読者ご本人、そしてご家族や大切な方々が心安らかに過ごせるようになるためのひとつの道筋をお伝えできる内容になることを願っています。
ゼオライト生命体応用研究会 会長 佐藤一男
